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冬物語 Comments (2)
なぜ、エリック・ロメール監督は、こんなにも「極めて自然な生活風景を切り取ったような映画を生み出すことができるのだろう…」と改めて思う。
前回観た時(2018年)はエリック・ロメール監督作品をなかなか観ることが出来なかったので、廃盤DVDを比較的廉価で購入して鑑賞したが、今回はCSザ・シネマ録画鑑賞。(画質良好)
なお、2018年夏はシネマヴェーラ渋谷で、大々的なフリッツ・ラング監督特集上映をしていて『蜘蛛(第一部&第二部)』・『暗殺指令』・『ハラキリ』など多くのフリッツ・ラング監督の直後に本作を観たので、フリッツ・ラングからエリック・ロメールの世界への切替えが難しいぐらいラング・ワールドに嵌っていたこともあり、今回のような感動が味わえなかった。
今回、ロメール監督の<四季の物語シリーズ>を第1作から観ていて、第2作の本作を観直してみて、本当に良かったと思う。
夏のブルターニュで恋に落ちた男女だが、女性が彼に住所を間違って伝えたことから、離ればなれになってしまった運命の恋人の物語。
真夏の海で出会った女性フェリシーと男シャルルは「ひと夏の恋」を過ごしたが、これが永遠の恋のようなものとなっていく。
そして、突然、5年後に話が飛ぶ。
フェリシーは美容院で働いているが、そこの中年オーナー(既婚者)=マクサンスと深い仲に見える。また、フェリシーは哲学的な青年ロイックという若い男とも恋人のように見える。
更に、フェリシーには幼い娘がいる。この娘は5年前の夏に恋愛したシャルルの娘だと思える。
ここで、観ているこちらは「いったい、このフェリシーという女性は、どういう暮らしをしているのか?」と思う。
すると、フェリシーの口から「5年前、シャルルと駅で別れる時に、間違った住所を伝えてしまったことから“二度と会えない永遠の恋人”となってしまい、現在2人の男と親密」ということが語られる。
娘の部屋にはシャルルの写真が飾られている。
真冬のパリから田舎町ヌヴェールに引っ越して美容院を営むマクサンスについて行くフェリシーだが、1日の田舎町暮らしで「娘と私はこんなところに住めない」と悟って、さっさとパリに戻ってしまう。
そして、図書館に行って、青年ロイックと再会する。「フェリシーはロイックと付き合うのか?」と思って観ていると、意外な展開へなだれ込む。
いやぁ~、こんな素敵なドラマをパリという素敵な街を舞台に、自然に描き切ったエリック・ロメール監督の手腕に、ただただ驚くばかり。
全人類必見の大傑作と言えよう。
極私的な感情を追った映画はあまり好きになれない。なぜなら、自分自身の感情がもっとも変化に富み、それに振り回されているからかもしれない。