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女は二度生まれる Comments (7)
ギミックなしの正統派作品。芸者の世界に生きる小えん。物語はそのリアルな内幕を見せてゆく。若尾文子の魅力を最大限に引き出している脚本と演出。不穏に響く音楽。ザワザワするくすぐりが上手い。
どこもなんてことの無い展開だが目が離せない。不思議な緊張感が続いた。そしてあのボンヤリとして奇妙なラスト。してタイトルの意味とは。ずっと後引くタイプの映画だ。
「姿三四郎」の冨田常雄による「小えん日記」が原作。正に日記のごとく芸者小えんの体験を淡々と見せていく。
売春防止法によって赤線が廃止された後の時代である。
芸者(といっても芸を見せる訳でもなく、お座敷で酒の相手をしているだけ)が、客の指名を受けて夜の相手までする。芸を持たない彼女らにとっては副業として重要な収入源だったようだ。
しかし、取り締まりなどで環境は厳しい。
そんな芸者よりも、キャバレーのホステスの方がいい給料がもらえたりする。
若尾文子が演じる主人公は、金銭を得ることにも身体を重ねることにも後ろめたさなどなく、男たちに本気で愛情を持っていて、自然で奔放な女だ。
時々見かける学生(藤巻潤)に好意を寄せる純情な一面もある。
娼妓という設定でありながら、若尾文子は持ち前の妖艶さよりも可愛らしさでハツラツと演じている。
東宝所属の監督川島雄三は、大映に招かれて若尾文子を主演に3本撮っている。本作は、その1本目だという。
置屋周辺の狭い路地や料亭の屋内で見せる見事な構図。
特に路地を歩く野良犬の後ろ姿が消えるとタクシーが路地の入口に停車するシーンは、パースペクティブを大胆に使った川島雄三の映画芸術の見せ場。
平坦な物語にあって、池野成による音楽は前衛的で謎めいている。
物語に合っていないようにも感じるが、突然訪れる謎めいたラストにつながるものだ。
ベンチに座る若尾文子をやや仰角で画面上部に収めたラストショットの構図がまた素晴らしい。
ズルがしこい割りには間が抜けていて…
よく言えば愛嬌がある。
若尾文子は若く、色香は未熟だけれど
身体の奥底に潜む色欲が目の動きに自然に表れる。
川島旦那はそんな彼女の微妙な感性を引き出す。
駆け引き上手なんだろう。
体言止めのようなラストシーンに全て現れている。
しかし、川島旦那は言うだろう。
イヤんなっただけ!
売春の様なことをしてたんだろう。色んな男に恋して寝て、その後芸妓やめて男の二号さんになり、男が病気で死に、本妻に宝石が見つからないと泥棒扱いされたりと忙しい。普通ならお涙ちょうだい、だろうに、ずっと明るい所が良い。
ストーリーは無いような感じ。
最後はどう解釈したらいいんだろう?突然「終」って出てびっくりした。
とにかく20代の若尾文子が綺麗で可愛い作品。