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野ゆき山ゆき海べゆき Comments (3)
DVDをレンタルしようとしたら店から撤去されていて、DVDは5千円もしてしかも中古だし、ブルーレイなら買おうかと思ったらない。youtubeでカラー版英語字幕付きで見る。鷲尾いさ子が大変な美しさで、尾見としのりもいつもと違って怪しい魅力のイケメンだった。演技や絵作りが大嫌いなウェス・アンダーソンみたいでかっちりしていて、美意識に押し込む感じが苦手。
公開当時見た時はすごく好きだったのだけど、今見るとしんどい。子どもが主人公で自分に近かったし、かっちしりた作りも分かりやすくてよかったのかもしれない。
カラー版と白黒版の2バージョンがあり、白黒オリジナル版を鑑賞。
戦争の影が忍び寄る瀬戸内の城下町。尋常小学校に通う総太郎ら子供たち。
ある日、転校生が。人一倍体が大きく訳あって2つ年上の栄に、クラスの男子たちはライバル心剥き出し。
毎日毎日、喧嘩して喧嘩して。
栄は姉と暮らしている。
美人で優しいお姉さん、お昌ちゃんに皆メロメロ。
総太郎はお昌ちゃんから、弟と仲良くしてと頼まれる。
子供たち皆で遊べ、喧嘩の決着にもなり、そしてお昌ちゃんも巡れる、“戦争ごっこ”を開始する!
戦争時代であっても、生き生きわんぱくに遊ぶ子供たち。
瀬戸内の風景が子供たちをノスタルジックに包み込む。
正直、子供たちの演技は上手いとは言い難い。素人演技に棒読み。
でも、これは敢えて。子供たちに芝居掛かった演技をさせるのではなく、ナチュラルで素のまま撮りたかったとか。
これは功を奏したと思う。
見てて本当に愉快だし、可愛く感じてくる。
そんな子供たちの“戦争ごっこ”。単なる子供の遊びと思うなかれ。
地の理を活かした作戦。
捕虜交換。捕虜にされたら戦力が無くなる。
やられたらやり返す。
どんどん過剰になっていく…。
大人たちの本物の戦争へチクリ。
この時代の子供たちは子供なりに戦争の本質をしかと見ていた。
しかし、大人の不条理や戦争の犠牲になるのが、いつだって薄幸の美少女。
映画初出演にして初主演、鷲尾いさ子の美少女っぷり!
子供たちと同じく演技力は褒められたもんじゃないが、そのたどたどしさがまたいじらしい。おヌードも披露。
そんな皆の憧れのお昌ちゃんが、大人の事情により遊郭に身売りされる事に。
喧嘩していた総太郎や栄は和解し、お昌ちゃんを取り戻すべく、“掠奪大作戦”を開始する…!
結局、自由も何もかも奪うのは大人。
戦争を勝手に始めたのも大人。
それに翻弄され、苦しめられる子供たち。
しかし、見よ!
そんな中でも、子供たちは逞しく活発に生きる。
ダメな事はダメ、と強引ながらも立ち向かう。
喧嘩ばかりしていたが、“お昌ちゃん掠奪大作戦”を機に協力し合う。
子供たちはあっという間に和解出来る。それに引き換え、大人たちは…。
大人と子供の問題じゃない。それが出来るか否かの問題である。
子供たちには未来とそれを担い、今を変える力がある。
それでもどうしようも出来なかった大人の悪しきと戦争。
クライマックスの悲劇をそれを訴える。
いつも斬新な感性の大林作品だが、本作は1950~60年代の古きよき名画を彷彿。
それでいて、“らしさ”も勿論。
ユニークな演出、画作り。
美少女、青春、反戦…。
ぼくらのわんぱく戦争であり、ぼくらの大林映画であった。
ガキ大将が転向してきてみんな大騒ぎ、でもお姉さんが美人だったので複雑。
そのうちわんぱく戦争が勃発、最初は素手だったが石を投げ始めてけが人が続出、戦争は終わった。
大人の貧しさが子どもたちに影響し始める。