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エル・スール Comments (9)
子供の頃、スペイン北部に住んでいた女性の少女時代の回想録で父の形見となる振り子を見つめるシーンから回想録が始まり、振り子を見つめ直すシーンで回想録が終わる。
人里離れた自然豊かな家に住んでいた屋根の白いカモメの風見鶏は、常に南を向いていたと云う。主人公の慎ましいながらも何不自由なく幸せに暮らす事が出来た幼少期。小さな家族、小さな幸せ、小さな出来事、好きだった父。冬の色褪せた雪景色。少女から大人へ。父との惜別。エルスールとはスペイン語で南という意味だと云う。
南への憧れ。スペイン北部の色褪せた雪景色は富山の枯れた故郷の冬景色に似ていた。
30年程前、自分が東京の大学生だった頃、ミニシアターブームの走りで、今は亡くなった六本木の映画館で上映されていたと思う。観に行こうと思いながらも見に行けなかった映画だった。
映画の最後のシーンで父の形見の振り子が机のケースに仕舞われて、時間が止まり、主人公は南へ旅立つ。30年後に、この映画を観る自分が居るのだが、自分も幼少期を想い出す事が多くなっていた。
30年前に映画を観ても考えなかったと思うが、幼少期の想い出は、大事なもので、意識しなくても心の片隅にきちんと仕舞われていて、忘れる事はないのかもしれない。
映像が綺麗。
南に置いてきた父の思い出をこれから「見に」行く。
そうして物語は終わる。
静かな空間を描いていて、何となく雰囲気が「ゴッドファーザー」に似ている。
映像ひとつひとつが絵画のようで美しい。
しかし内容が難しすぎて私には分からない。
父親の自殺の原因は娘に「南の恋人の存在」がバレたから?
色々解釈を読み、何度も見ればきっと見えてくるものがあるのかもしれない。
大人になるエストレリャには段々不思議な存在になり、
色んな詮索をし始め、そしてベッドの下に隠れる。
それでも父は探しに来ない。
ここで普通の娘ならぐれちゃうけど、
それでも父の悩みを思う娘の気持ちが切ない。
でもそれをあからさまに言うわけでもない。
父も娘を大事にしていない事を反省する。
そこでまさか自分の悩みの種を娘に見抜かれている。
でもタイムアウト。
父と娘、年を重ねるほど難しくなる関係性に、こちらが悶える。
それにしてもスペイン内戦はあまり知りませんが、
これだけ影響しているともっと知りたくなりました。